A single myosin head moves along an actin filament with regular steps of 5.3 nm

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ミオシンはアクチンフィラメントに沿って5.3 nmのステップ状の変位を示す

K. Kitamura et al, Nature, 397, 129-134 (1999)


走査プローブには、先端の直径が10 nm程度の鋭くとがった酸化亜鉛の針状結晶(ウィスカー)を使い、これを細いガラスニードルの先端に付けました。ガラスニードルは圧電素子によってナノメートル精度で操作できるようになっています。

喜多村さん論文から大.png

蛍光標識したミオシンをガラス表面にばらまいておき、ミオシン1分子をエバネッセント蛍光顕微鏡で見ながら、そのミオシン尾部をウィスカーの先端で捕まえます。ウィスカーの先端は、ミオシン尾部と特異的に結合するタンパク質の糊を付けています。ミオシン分子を首尾よく捕まえることができたら、ガラス表面に固定したアクチンフィラメントにそのミオシンを近づけます。ミオシンの変位はガラスニードルの変位として測定できます。

kitamurastep論文から.png

ATP加水分解サイクルのADP、Pi解離にともなった変位の立ち上がり部分を拡大してみると、変位は一度に起こっているのではなく、5.3 nmのステップ状になっていました。さらに1回の変位に含まれるステップの数は、1回のこともあれば、5回のこともあり、単頭ミオシンが確率的な運動を行うことが分かりました。