A single myosin head moves along an actin filament with regular steps of 5.3 nm

モーターグループ

生体分子モーターの機能メカニズムを探る

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ミオシン1分子のATPase反応のイメージング

T. Funatsu, Nature, 374, 555-559 (1995)


1分子の蛍光色素分子をイメージングすることができれば、蛍光色素で標識した任意の生体分子をイメージングすることも可能です。 私たちは、エバネッセント顕微鏡を用い、1分子のATPase反応のイメージング法を開発しました。

図aは測定原理の模式図です。まず、ガラス表面上にCy5で蛍光標識したミオシンサブフラグメント1(S1)1分子を固定します。S1分子の位置は、このCy5によって確認できます(図b)。次に、S1分子にCy3-ATP(蛍光性ATPアナログ)が結合・解離する様子をイメージングします。エバネッセント照明では、ガラス基板からの近傍にいるCy3-ATPしか励起されません。もしCy3-ATPが照射領域に入ったとしても、S1に結合していないCy3-ATPはブラウン運動のため、蛍光スポットとして観察されません。このCy3-ATPはS1に結合すると、ブラウン運動が制限され輝点として検出できるようになります。さらに、 このCy3-ATPはS1によってCy3-ADPとリン酸に加水分解されます。ADPはATPよりもミオシンとの親和性が低いため、Cy3-ADPはS1から解離しやすく、解離すると輝点は消えます。この輝点の明滅を観察することで、ATPの加水分解サイクルを追跡することが可能となります(図c)。




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