Brownian search-and-catch mechanism for myosin-VI steps

モーターグループ

生体分子モーターの機能メカニズムを探る

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ミオシンVIの一方向運動のためのブラウン運動整流機構

M. Iwaki et al, Nat. Chem. Biol., 5(6), 403-405 (2009)


エンドサイトーシスなどの小胞輸送を担う分子モーターであるミオシンVIは、細胞骨格のアクチンフィラメント上で一方向の歩行運動を行います。歩行運動において、ミオシンVIの2つのモーター部位はアクチンフィラメント上で交互にブラウン運動を行い、前後の結合位置を探索していますが、どのようにして結合位置を決定しているか、まだわかっていませんでした。本研究では、レーザートラップを用いた1分子操作技術によって結合位置を探索中のモーター部位に操作を加え、結合位置の決定機構を調べました。

iwaki.png実験系の模式図

ミオシンVIの2つのモーター部位はネック部位を介して連結されており、交互にモーターを前方に押し出しながら歩くと、分子内で歪みが加えられます。ブラウン運動によって結合位置を探索しているモーター部位は、前方の結合位置で加えられる分子内歪みを感じるとATPの加水分解サイクルを進めてアクチンと強く結合していることがわかりました。この成果は、私たちが、ナノスケールで機能する分子モーターのブラウン運動整流機構を明らかにしたことを意味しています。




iwakiイラスト.png(b)分子内歪みによってミオシンとアクチンの親和性が制御されることを説明するモデル (c)ミオシンVIの一方向運動はブラウン運動と分子内歪みによって説明できる。