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20世紀、生命科学は分子生物学の発展により、ゲノムやタンパク質を始めとする生命の構成部品とその機能を明らかにしてきた。同時に、集団遺伝学やバイオインフォマティクスなど、遺伝子を中心に生命機能の量的な理解を深めてきた。

21世紀に入り、光学技術・次世代シーケンサなど生命を計測する技術がさらに高度化し、生命の生きた状態を動的に観測することが現実になりつつある。21世紀の生命科学の大きな課題の一つは、精密な計測結果に基づき生命、特に細胞レベルの活動をまるごと動的に理解することにより、新しい生命観の創出に挑戦することである。

そのためには、生命を記述する枠組にも、そのダイナミズムと複雑性を十分に表現できるものが必要になる。細胞システムのように複雑・非一様かつ動的に統御されている系を記述するには、単純な因果関係では表現しきれず、シミュレーション技術・数理科学・情報科学に基づく高度なモデル化が必須になる。

定量的な生命計測と計算・情報生命科学の近年の発展により、細胞内の1分子の挙動などこれまでのシステム生物学でのモデルを超える理解が可能になりつつあり、生命の動的理解への挑戦を開始する機は正に熟している。計測とモデルに基づく生命の動的理解は、生命の挙動のより精密な予測を可能にし、さらには生命の制御・設計をも可能にするであろう。

本シンポジウムの目的は、長期的な生命科学の発展に資するため、日本の生命科学コミュニティにおいて「生命の動的理解」に繋がる研究活動についての理解を増進し、議論を興隆させることにある。その目的のため、諸分野の相互理解を深め研究の将来像を描くと共に、今後の重点研究課題・融合研究課題について議論を進めるべく、幅広い分野の指導的研究者を集め、ここにシンポジウムを開催するものである。

                         発起人代表

柳田 敏雄 (大阪大学)
郷 通子 (情報・システム研究機構)
中西 重忠 (大阪バイオサイエンス研究所)